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公認会計士に求められる能力の変化
経営財務 年頭所感
2021年一発目の週刊経営財務(No.3488)に、公認会計士協会の会長からの年頭所感が寄せられていました。
そこで、「公認会計士に求められる能力の変化」として、以下のように書かれていました。
公認会計士に求められる能力の変化
コロナ禍は社会全般にわたるDXを急進する契機となり、公認会計士も、ICTとデータの活用等、会計と監査にとどまらない知見が求められています。
より良い企業や社会の創造に貢献していると社会から評価されることこそが、不確実な時代の公認会計士に求められるものであり、会計基準と監査基準への準拠に重きを置く「コンプライアンス型人材」から、自ら問題を発見し、課題を設定して解決に向けて行動できる「課題解決型人材」への転換が最も重要であると考えています。
というわけで、求められる能力はこれまでと全く変化していませんね(皮肉)。
これまで課題解決という能力が求められてこなかった時代などあったのでしょうかね(皮肉)。
それとも公認会計士はコンプラだけ守っていればいい時代があったんでしょうかね(皮肉)。
会計や監査とITは相性が良い
なーんて皮肉ばっかり言っていてもしょうがないので、冗談はこの辺にして。
コロナ禍は社会全般にわたるDXを急進する契機となり、公認会計士も、ICTとデータの活用等、会計と監査にとどまらない知見が求められています。
というところは100%同意です。
そもそも、これまでだって会計や監査だけにとどまらず様々な業界の知識や経験というのは少なからず求められていたし、その中のITという要素がより色濃くなった、ということだと思っています。
個が選択するスキル
おそらく20年前の公認会計士とは求められるものの量がケタ違いになっていますよね(それは個人の話というより業界全体の話として)。
それは社会の変化に伴うものなので、良いとか悪いとか言う話ではないですが、それと引き換えに失われたものも大きいように思います。
そりゃ、何かを手にするには何かを手放すしかないですからね。
だから、この時代を生きる者として(公認会計士に限らずですが)、自分が身に着けるべき経験やスキルは慎重にかつ大胆に取捨選択しなければならないのだと思います。
欲張ってアレもコレもと手を出してもロクに身につかないのが落ちでしょう。
時代を読み解き、そして自分の適性をよく理解し、どんな組み合わせがマッチするのか、その最適解を更新していく能力が最も重要な能力ではないでしょうか。
最後に
最後に改めて上記の引用部分を読み返してみましたが、「より良い企業や社会の創造に貢献していると社会から評価されることこそ」が公認会計士に求められるものなのかは疑問です。
特に「社会から評価される」ことを主眼にするのはいかがなものかと。
業界に対する社会の評価はそもそもの認識がなされていないことから、こちらが望むようなものは得られないでしょう。
それよりも、たとえ社会の評価が得られなかろうと、公認会計士の使命である
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与すること
が最優先すべき事項であり、それは健全な資本市場・経済市場が運営されることで証明されるのではないでしょうか。