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韓国映画・ドラマに見る韓国社会
韓国映画・ドラマを見て思ったこと
前に韓国で大ヒットした映画「ベテラン」を見た。
そして今Netflixで大きな話題を呼んでいる「梨泰院クラス」を視聴しています。
どちらもおもしろく、勧善懲悪モノは見ていて気持ちがいい(誤解がないように言っておくと、自粛ポリスはクソだと思っている)。
大学生時代、第2外国語に韓国語を取るくらいには韓国映画にはまったことがあり、今までに何十本も韓国映画を見てきたが、今回改めて思ったことがあります。
権力組織への嫌悪感、反発感と実力組織の暴走
映画「ベテラン」でも、ドラマ「梨泰院クラス」でも、大企業や行政などの強大な権力への反感が日本と比べ物にならないほど大きく描かれているいということ。
どちらの作品も大企業のトップがこれでもか、というくらい悪人として描かれている。
振り返ってみると日本の映画にはそこまでの描写がされているものは記憶にない。
「半沢直樹」のような社内政治を描くものはあるが、これはあくまで「社内」の権力抗争であって、社会を巻き込むようなものではない。
これはなぜかと言ったら、おそらく日本でそんな映画を作ってもリアリティが出ないから。
日本で大企業のトップが殺人を犯し、それをもみ消すために警察に圧力をかけたとしてもさすがに逃れられないだろう。
しかし、韓国映画では平気で大企業の役員が犯罪をもみ消す。
よくあるパターンはこんな風だ。
大企業の社長の息子が罪を犯す。こいつはやりたい放題で、イジメもドラッグもやる無茶苦茶なやつだ。だが、社長の跡取りとして犯罪者にするわけにいかない。だから使用人を身代わりとして差し出す。違和感に気づく刑事が捜査するが、圧力をかけられた警察官の上司から担当を外される。
日本ではせいぜいヤクザ映画くらいじゃないとリアリティがわかない。
韓国社会でこんなことが実際に行われているかどうかはわからないが、こういった描写が成立するのは少なくとも日本よりは現実感があるからであり、大勢の視聴者がそれを求めているから。
そこからわかるのは一般市民が抱える強大な権力への嫌悪感、反発感であり、権力を持つ実力組織の暴走ぶりです。
警察が大企業からの圧力により平気で調査調書を書き換えるなんて、普通はありえない。
しかし、韓国映画やドラマを見ていると割と頻繁にそんなことが行われているような錯覚に陥る。
韓国は国民感情を重要視する国だと聞いたことがある。
デモなども多く行われているし、強大な権力がはびこる一方で国民の感情は無視できないという独特な社会基盤があるのだろう。
日本でもよく知られている事件として、「大韓航空ナッツ・リターン」がある。
この事件の権力者の傍若無人ぷりや国民感情の影響を鑑みると、映画でなされる描写もあながち大げさではないのかもしれない。
日本に生まれて良かった?
今、日本ではSNSを中心に「#検察庁法改正法案に抗議します」が話題となっている。
例の検事長の定年延長の件です。
そして、韓国映画を見て最終的に思ったことは、強大な権力を持ち続けることは碌なことはない、ということ。
この点だけを見て日本が良いか、韓国が良いかを結論づけるつもりはないが、この点だけに限って言えば権威主義が強すぎる(と私が感じる)韓国よりも日本の方がまだ良い気がしている。
多分、上からの目に見えない圧力や不自由を感じている若者は日本より韓国の方が多いんじゃないかな。
あとは「梨泰院クラス」でのトランスジェンダーの人の描写をみて、韓国では日本よりも多様性の理解が進んでいないようにも思えた。
日本に話を戻すと、上記のような点では日本で良かったと思う。
その一方で、1人の人が総理大臣を3期も続けるというのは長すぎて、メリットよりもデメリットの方が多いように思う。
4期も続けるなんてもってのほかではないか。
野党に力がなさすぎるのが原因でもあるのだけど。
少子高齢化という沼に足を踏み入れている日本。
その沼の深さは思っているよりはるかに深刻なのかもしれない。