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【書評】2040年の未来予測/成毛 眞

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【書評】2040年の未来予測/成毛 眞

2040年の未来予測/成毛 眞

このご時世、将来のことについて考えるのは非常に有用なことだと思います。

なぜならかつてないレベルで世界は変化を続けているからです。

 

現在30代の私ですが、例えば60,70歳になるまであと30,40年あります。

30,40年前の世界と今の世界を比べると、変化していないものを探す方がはるかに難しいくらい、世の中は変わってしまいました。

 

そして、これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう。(P.5)

 

と筆者は言います。

この変化に対して無策で挑むのは、充実した人生を送るためには無謀な挑戦と言わざるを得ないと思います。

 

そこで今回読んだのがこちらの本。

2040年の未来予測/成毛 眞

これからの日本、世界の「変化」を考えることなくして、準備することは困難です。

幅広く、リスクとなり得る分野について紹介・解説されているので、気になった所を中心に所感を残そうと思います。

 

目次

紹介する本著の目次は以下のとおりです。

#01 テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする

#02 あなたの不幸に直結する未来の経済 年金、税金、医療費

#03 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける

#04 天災は必ず起こる

では、各章詳しく見ていきます。

 

#01 テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする

#01のテクノロジーにまつわる本章では、5G、さらには2030年頃を予想されている6Gの浸透、それに伴いIoT(Internet of Things)が加速度的に浸透し、あらゆるものとインターネットが繋がると言われています。

さらには5G,6Gにより自動運転が拡充していくことや、無人のコンビニやスーパーが広がっていくことにも言及されています。

 

このようなテクノロジーはとりわけ、日本においては非常に重要です。

なぜなら、日本は世界で類を見ないほどの少子高齢化で、労働人口が急速に低下していくためです。

 

今でも日本の人口は減少し続けており、また都市部への人口流入により地方の人口は加速度的に減っています。

そんな中、マンパワーですべてのニーズに対応していくのは無理な話です。

必ずテクノロジーに頼るしか道がなくなります。

 

そういった意味で、上述した自動運転が物流や地方の交通状況を改善してくれる余地は大きいし、スーパーやコンビニなどの人材難にも対応が可能となる余地は大きいでしょう。

さらには、少子高齢化により、医療のニーズは高まる中で都心部を含め意志不足は深刻化することが懸念されます。

こういった問題にも遠隔診療等がテクノロジーにより解決される可能性は十分にあることが述べられています。

 

とにもかくにも、日本の人口減少は日本、ひいては我々にとって非常に大きな問題であり、大きなリスクですが、この点についてはテクノロジーが、いや、テクノロジーしか、解決策はないことを理解しておくことが重要です。

テクノロジーを使いこなせない人は、様々な面で享受できるサービスが狭まるリスクがある、ということが言えるでしょう。

 

#02 あなたの不幸に直結する未来の経済 年金、税金、医療費

繰り返しになりますが、少子高齢化により日本の社会保障はこれまでと同じ方法では運用できなくなりました。

バブル期あたりまでは人口がピラミッド構造になっており、若者が老人をみんなでかつぐことができましたが、これからは若者が肩車をして老人を支えなければいけない、そんなイメージです。

 

特に年金に関しては、もうもらえなくなるんじゃないか?と考える人さえいるかもしれません。

しかし、これはしっかりと制度を理解しておくことが重要です。

 

詳細については本著で確認してもらいたいですが、現在30歳の人は68歳4カ月、40歳の人なら67歳2カ月まで働けば今と同じ年金給付額を受け取れることがわかっています。

勿論、その年齢より若い人はさらに長く働かないと、今と同じ金額は受け取ることができません。

また、年金受給開始時期を遅らせることにより、年金受給額が増額されるため、70歳まで(あるいはそれ以上)働き続ける人はおそらくこれからますます増えていくと思われます。

 

しかし、年金が受け取れなくなることは絶対にありません。

もしそんなことになるなら、そもそも日本という国が成立しなくなっているので、年金がどうこうという問題ではなくなっている、と筆者は言います。

 

少し前までは60歳が定年で、それから老後が始まりましたが、同じようなライフスタイルを選択するならば70歳頃まで働き続け、それから老後が始まることになるわけです。

60歳であればまだまだ元気で残りの人生を謳歌できそうなイメージもありますが、70歳となるとどうでしょうか?

 

#03 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける

「衣」・「食」・「住」については、環境問題と並行して考えなければいけない時代となりました。

 

住」については人口減少とも相関します。

日本の場合、人口減少が進むことから不動産価格は短期的に上昇するかもしれないが、中長期的には必ず安くなる、とあり、これについては納得感があります。

円ベースでは大きな変化はないとしても、世界的な不動産価格との対比では間違いなく下がっていくでしょう。

年功序列、終身雇用にマッチしていた住宅ローンという制度が、現代にそぐわないことは間違いないのではないでしょうか。

 

それとともに、本著ではマンション(一部の都心マンションを除く)の価値は下がっていくことが予想されています。

 

その他には、日本の場合、オンライン教育が普及することや学歴に今ほどの価値がなくなることが記載されています。

 

「衣」については、シェアリングエコノミーが今以上に普及するであろうこと、言い方を変えると、貧しくなる日本においてはシェアリングが必須になるとも言われています。

また、衣服の不良在庫の処分などによる環境問題を昨今よく耳にしますが、「持続可能性」というテーマは避けては通れないのが、「」です。

 

」については、代替肉や培養肉が絶対的にシェアを拡大していくとあります。

それは、日本では人口が減少するものの世界的にはまだまだ人口が増えていくからです。

2040年には世界の人口は90億人にもなると言われており、それだけの人口に対して天然の肉は供給できなくなるでしょう。

また、畜産による問題も深刻化しており、代替肉や培養肉の研究は今後ますます発展していくと考えられます。

 

#04 天災は必ず起こる

世界的に見ても、日本はおそらく天災が多い国なのではないかと思います。

最近で最も大きかった東日本大震災、他にも震度5~6の地震は珍しくない頻度で起きています。

マグニチュード9レベルの南海トラフ地震は30年以内に70~80%の確率でくると言われているそうです。

地球温暖化により、台風の勢力は年々増大し、被害も深刻化しています。

富士山は781年から1707年にかけて17回噴火していて、それ以降300年以上平穏を保っている状態で、いつ噴火しないとも限りません。

 

このような、天災のリスクを網羅的に紹介し、そのリスクについて解説してくれています。

喉元過ぎれば熱さを忘れるとは言いますが、東日本大震災を経験してからも、どれだけ天災に対して準備ができているでしょうか?

 

おそらく日本国内にいて、ここなら何が起きても大丈夫と言える場所はないのでしょう。

であれば、何かが起きたときにできる限り自分で対応できるように準備するしかありません。

国や自治体の援助に期待して無策でいるにはリスクが高すぎます。

 

当然、このような天災にはこのように準備しましょう、といった教科書的な内容ではありません。

こういった要素があるから、みんな自分で考えてみましょう、そうやって注意喚起してくれる内容です。

 

最後に

日本は確実に縮小していく中でこれだけのリスクがあるわけですが、リスクとチャンスは表裏一体だと思います。

日本全体の縮小を防ぐことなど個人には到底かないませんが、自分と家族くらいは守ることは決して難しいことではないはずです。

 

変化とは急に現れるものではなく、今見渡せば必ずその端緒があり、それが大きくなって始めて変化として感じる事ができるようになる。

そういうものだと筆者は言います。

 

今後やってくる大きな変化に気づくためにも、こうやって得られた情報を生かし、自分なりに考え行動していくことが重要なのだと思います。