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やらなくていい仕事はしない
仕事は1つ増えたら1つ減らさない限り増え続ける
当たり前のことですが、仕事は1つ増えたら1つ減らさない限り増え続けます。
以前関与していた会社では、勘定明細をかなり細かい粒度で毎月すべての科目(BS&PL)で作成していました。
会社の規模が小さいうちはなんとかなっていたのですが、会社の規模が拡大するにつれて多くの科目で期限に間に合わすのが厳しくなり、期限後に出来上がることが常態化していました。
それに比例するように経理部員の多くが長時間残業となり、我々のような外部業務委託者のリソースもひっ迫していきました。
これは身を見るより明らかな結果で、時間の経過とともに多くの会社で事業は発展していきますし、近年は毎年なんらかの基準改正があるのでやることは増えていく一方です。
会社の規模が拡大していっている場合には当然人員の募集がかかるわけですが、これは焼け野原に種を植えていく作業に近く成果が出るのに時間が掛かるため、根本的な解決には絶対になりません。
やはり、仕事が増えたらその分減らすことを考える必要があります。
1つも無駄なことをやっていない会社などないと思いますが、限りなく無駄が少ない会社と無駄なことばかりやっている会社にはかなりの差があります。
無駄を減らすための視点
ここで上記の会社の事例に立ち戻って考えてみます。
勘定明細を細かい粒度ですべての科目で毎月作成していましたが、果たしてここまでのものが必要でしょうか?
ここでは以下の3点に分解して考えてみたいと思います。
質の問題
量の問題
頻度の問題
質の問題
まず、質の問題について考えてみましょう。
勘定明細における質は、勘定明細の粒度と言い換えて良いでしょう。
要は、クライアント別や事業部別あるいはセグメント別や機能別といった区分で作成することが可能ですし、これらを組み合わせて作成することも可能です。
しかし、これらすべての視点を組み合わせて作成しようと思ったら、膨大なリソース(人的・時間的)を消費します。
誰がいつ、どのレベルでその情報を必要とするのかをしっかり把握し、必要のない視点は一度すべて切り捨てましょう。
「いつか誰かが必要とするかもしれない」、そんな理由で必要以上の情報を盛り込むのはリソースの無駄遣いでしかありません。
本当に必要な情報だけを選別することから始めましょう。
なお、監査対応の観点から言えば、多くの科目の勘定明細(債権債務等の科目)は取引相手別の情報があれば十分です。
量の問題
続いて量の問題です。
勘定明細における量の問題は、科目の範囲と言い換えて良いでしょう。
一般的な会社ではBS科目の勘定明細は作成しますが、PL科目まで作成している会社は多くありません。
PL科目ごとの計上額を把握することは重要ですが、各科目の取引先別情報をPL科目まで作りこむ必要性が本当にある会社なのか、改めて見直す必要があると思われます。
頻度の問題
続いて頻度の問題です。
勘定明細を毎月作成している会社がどれほどあるでしょうか?
上場企業であれば監査法人による四半期レビューが入るため、四半期毎に作成している企業が最も多いと思われます。
そもそも毎月そこまで細かいレベルの明細を作成する必要があるのか、慎重に検討すべきでしょう。
ここまで3つの視点で問題を観てきましたが、整理すると以下のようになります。
最後に
すべてを高水準でやろうとしているため、無駄が生じている状態です。
ここからどれか1つを切り捨てろという話ではなく、あくまでバランスの問題です。
たとえば下記のようにレベルを調整してあげれば、業務の負担はかなり楽になるはずです。
でも良いし、
でも良いかもしれません。
これが正解と良い切れるものはありません。
これは経理部員一人の感情論ではなく、会社がより良く発展していくために必要な体制の問題です。
各々の状況を鑑みて、必要なものとそうでないものをしっかり取捨選択し、必要ないと判断したものを辞める勇気が求められてると言えるでしょう。