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日本の組織の建付けの悪さ
定額給付期の支給の遅さ
2020年、一人当たり10万円の定額給付金が支給されたのは記憶に新しいところですが、世界の先進国と比較して日本は給付が遅かったのを覚えているでしょうか?
喉元過ぎれば熱さ忘れるなんて言いますが、既にそんなことも記憶にない人も多いでしょう。
今さらかもしれませんが、今だからこそ、なぜ日本は給付金の支給が遅かったのか、構造を理解しておくと日本がどういう国なのか、という理解に資すると思うので紹介します。
かく言う私もたいした理解がありませんでしたが、先日紹介したこちらの書籍で紹介・解説されていました。
縦割り社会
シンプルに答えを提示するならば、日本の組織構造が「縦割り」になっており、業務が不必要に細分化されているから、ということです。
税金を徴収しているのは国税庁。
所得情報を管理しているのは地方自治体(所得証明書は国税庁ではなく、市町村から発行される)。
当然地方自治体では、各人の銀行口座等は管理していないし、納税状況も知りえない、さらには個人情報保護法があるため、申請された情報に基づいて給付するしか術がない。
これが例えばアメリカでは
納税者番号である社会保障番号の届け出がある人にのみ給付
しており、
社会保障番号と銀行口座が紐づけられているため、2週間程度で給付金が振り込まれる
というわけです。
個人的には個人情報が過度に保護されているためになにかと不便なことも多くなっているように思うが、諸外国では様々な情報が紐づけられて管理されているようです。
税金と社会保険
ちなみに、日本では税金と社会保険料も管理する組織が違います。
税金は国税庁で社会保険料は日本年金機構が管理しています。
当然一元管理した方が効率が良いし、無駄な税金もなくすことができますが、現実には一元管理するためのハードルはかなり高いものなっています。
なぜなら、国税庁は財務省の管轄であり、日本年金機構は厚生労働省の管轄だからです。
「2040年の未来予測」では、この2つが一本化され「歳入庁」となった場合には「内閣府」の管轄になる可能性が高いとありますが、どういった結果になろうとも1本化されたあかつきには、人事権喪失の可能性があるわけで、積極的に介入するインセンティブがないことがわかります。
もしこれを実現しようという政治家がいれば、かなりの抵抗に立ち向かう必要があるわけです。
最後に
全体最適を考えれば手をつけるべきところはあるはずなのに、現実ではそれができない。
そんな状況にあるのが今の日本に、一部とは言えあるということを知っておくと、これからを考えるのに役立つかもしれません。