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【書評】スマホ脳①

【書評】スマホ脳①

スマホ脳/Anders Hansen(アンデシュ・ハンセン)

これからの時代はスマホが中心の世界になっていくのだから、小さいうちから慣れ親しんだ方が良いと思っていた。

だから子供たち(まだ自分にはいないけど)小さいうちから使わせた方が良いのではと。

 

しかしこの本を読んで考えが一変した。


これからの時代を生きていく上で一読すべき1冊だと思う。

考えさせられることが多かったため、3回に分けて書くことにした。

 

本書の目次

本書は以下の10章で構成されている。

第1章 人類はスマホなしで歴史を作ってきた

第2章 ストレス、恐怖、うつには役目がある

第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである

第4章 集中力こそ現代社会の貴重品

第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響

第6章 SNS-現代最強の「インフルエンサー」

第7章 バカになっていく子供たち

第8章 運動というスマートな対抗策

第9章 脳はスマホに適応するのか?

第10章 おわりに

今回は第1章第2章を中心に考察したい。

 

本書の主題は

前提として本書はスマホにのめりこむことのないよう、ある程度の距離感を保つことを推奨しており、全体を通してスマホのリスクを訴えている。

一方でこういった論調の時に自然回帰すること(例えばスマホを完全にやめること)を推奨しがちだが、それは行き過ぎた論理であり、スマホのすべてを否定しているわけでもない自然主義的誤謬/P.242)。

 

人類の進化と適性

第1章と第2章で重要なことは、

人類が現代に適応できない

ということだろう。

これはどういうことか。

 

現生人類が東アフリカに出現したが20万年前と言われている。

それから現代にいたるまでの99.9%の時間を狩猟採集して暮らしてきた、という事実がある。

そういった世界では、現在とはまるで状況がちがう(いくつか本文より抜粋、太字は当ブログで加工)。

・当時は50~150人程度の集団でくらしていた。今では、地球の人口の多くが歳に暮らしている。

・当時は常に移動し、住居も簡素だった。今は同じ場所に何年、何十年と住む。

・当時の一般的な死因は飢餓、干ばつ、伝染病、出血多量、そして誰かに殺されることだった。今の最も一般的な死因は、心臓血管疾患と癌だ。

・当時の人口の10~15%は、他の人間に殺された。今は殺人、戦争、内戦など、他の人間に起因する死は死亡者全体の1%にも満たない。

・当時は、生き延びるためには注意散漫で、周囲の危険を常に確認していなければいけなかった。今では、注意散漫にならないのがよいとされている。昔のような危険はもうないのだから。

・当時は積極的に身体を動かして食べ物を探さなければ、餓死する可能性があった。今では食料を手に入れるために一歩も動く必要はない。注文すれば、玄関に届く。

本書では詳しく書かれているが、ここから読み取れることは現代を生きる我々もこのような環境下で生存するために最適化されるように進化している、ということだ。

当然、狩猟採集を行っていた当時と現在とでは全くと言っていいほど環境がかわったが、人間は現代に適用するようには進化できていない。

なぜなら

数千年というと永遠のように聞こえるかもしれないが、進化の見地からすれば一瞬のようなもの (P.34)

だから。

 

そして、以後の章では、こうした人類の本能とでもいうべき性質を利用し、人間の脳をハックするようスマホやSNSがデザインされている話となる。

そしてそれは我々の幸せのためではなく、お金のためであると。

 

感情があるのは生存のための戦略

そのために理解しておくべきことがある。

それは人類にとって感情は非常に重要な役割を果たしており、その感情は狩猟採集生活下に最適化されているということ。

感情があるのは生存のための戦略(P.35)

であり、

ネガティブな感情が最優先(P.38)

される。

なぜなら

人類の歴史の中で、負の感情は脅威に結び付くことが多かった(P.39)

から。

 

そして、脅威への対処は先延ばしにすることはできないから、睡眠欲や性欲に優先順位で勝る。

脅威とは現代に言い換えればストレスであり、

ストレスシステムが、危険な世界で私たちを守るべく進化してきた(P.66)

 

彼を知り己を知れば百戦殆からず

こういった基本的条件を理解しておくことは非常に重要だと思う。

己や敵を知らずして、リスクから身を守ることはできないから。

 

 

次回以降、こういった進化が現代社会(インターネットやスマホが浸透した世界)に与える影響について、【書評】スマホ脳②、【書評】スマホ脳③で確認したい。

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